職能という言葉を聞いたことはあるものの、実際のところ意味を明確に説明出来る人はあまり多くない。一般的に職能とは「職務遂行能力」を短縮したものと考えられており、仕事をやり遂げるために必要なさまざまな能力を意味する。基本的なものでは、社会人に必須なビジネスマナーやコミュニケーション力なども職能に当てはまる。日本では「職能資格制度」が深く根付いており、一人ひとりが持つ能力を評価して給料に反映させる仕組みが一般的だ。しかし、この制度では年功序列に陥りやすく、評価基準があいまいだと疑問視する声も増えている。加えて、昨今の「働き方改革」も後押しして、欧米スタイルの「職務等級制度」への移行を検討している企業も多い。
職務等級制度では、職務ごとに仕事内容や難易度があらかじめ明確に定められており、その職務に対応する給与が支給される仕組みだ。年齢や勤続年数などは一切考慮せず「同一労働・同一賃金」が原則とされ、公平性が保たれているのが特徴である。アメリカを中心に発展してグローバルに導入されている制度ではあるが、日本においては導入が難しく、なかなか一般に浸透していないのが現状だ。日本企業では、チーム一丸となってメンバー同士で助け合いながら働くスタイルが珍しくなく、「職務等級制度」のように個人の職務をはっきりと区別するのが難しい場合も多いからだ。海外からの人材も増加傾向にあることから、早急な対応が必要とされている。